2019/10/22

バスキア展 六本木 森アーツセンターギャラリー

 

実は、二週間もまえのことになってしまったが、バスキア展を観た記録。


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六本木で バスキア展を開催中と言うことで
とにかく混雑回避 ・・急いで家を出て 平日 朝イチ 開館と同時に入場!

それでも、森美術館+森アーツセンターギャラリー行きのエレベーター前にはすでに人が!
焦ってどこに並んだらいいのか迷ったけれど、実は列をなしていたのは 森美術館の「塩田千春展」に並んでいる人たちだった。
バスキア展は、実はまだそれほど混んでいないのか?

いやいや、そんなことはない、これは平日朝イチなのだ。会場内には、結構 人がいる。


音声ガイドが無料という本展
音声ガイドを聞きながら会場内を廻る・・と、自分のペースで自分の感じたまま作品と対話することができないので、まずは、聞かずにざっと自分の目で確かめながら全体を鑑賞。そのあと、音声ガイドを聞いてみることにした。

聞いてみて思ったのだが、ありきたりの作品紹介しかなかったのが残念! 無料だから、借りてみてもいいが・・・内容は今ひとつ。作品を深掘りしたコメントは一切ない。


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バスキアの作品に、いわゆる画家が必ず通る道・・リアルに描くデッサンや習作、クロッキーとか・・油絵とか・・。そういう物は一切ない。

きっと、ウマイヘタでいえば、バスキアはうまくない。 モデルを前にして、デッサンなんてしたことがあったのだろうか?
もし、していたら 却ってその基本が表に出てしまって、こんなに大量の作品を生み出すことはできなかっただろう。


バスキアの作品は、即興的な感性で描いているんだろう・・そんな感じがする作品ばかり。
ピアノで言えば、クラシックの基本には一切触れないまま、いきなりジャズピアノに走る・・そんな感覚。

バスキアは、きっと頭の中に思い浮かんだこと、考え、言葉、イメージ、すべてをキャンバスや紙にはき出していたんだろう。
描く、と言うことは、言葉を発することと同等、呼吸をすることに近く、日々生きているそのものだったのではないか。

エスキースとか、アイデアスケッチとかの存在なんてあったのかな? 
すべてが本番だし、作品とかラフとかなんて、関係なくて 全部自分から「今 」出てきたもの、頭の中を駆け巡るもの、それをいつも吐き出し続けていたんじゃないか? 

まさに即興のジャズのように。

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今回の展覧会は、バスキアが描いた作品の中のごく一部の展示。

だとすると、尚更、バスキアは呼吸をするように作品を生み続けていたのだろう。 その作品量たるや!

即興的でセンスあふれる画風こそが、だれにもまねできないものであり、今でもファッション界でインスパイアされている証拠でもあるのだ。

コドモの落書きっぽくて、何を描いているのか訳がわからない、誰でも描けるような絵 という人もいる、でも・・
落書きでこんな風に描ける? といいたい。 狙ってこんな線は描けない。
こんな落書きが描けるなら、その人はすでに画家の域に達しているのだ。

 

 

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まあ、とにかく実物を観てみるしかないと思う、こういう作品は。
画集だとか、印刷物だとか。
そんな二次元的な記録物で、バスキアがいいとか悪いとか。 そんなことじゃないんじゃないのかな?
吐き出された「実物」を観て、そして感じるしかないんじゃないか? 好きとか嫌いとか。

 

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ありきたりの音声ガイドを聞いて思ったけれど、 この音声ガイドを無料でつけてしまうあたりが、バスキア展の軽さ・・なんじゃないか?
そう、・・商業的に創り上げられてる・・っていうか。

この自画像についてもそう。 表面的で陳腐なコメントを、さも それらしく演出して音楽と音声とでかっこよくまとめているけれど・・中身がないんだよな〜。
もっと、いろいろな人の評価をいくつか例に挙げて 観る人にどう感じるか、深く考えさせるような言葉を聞かせたっていいんじゃない?

ここまで王冠をたたいて並べている意味
木箱の蓋のような画面、左側に自画像、右に大量の王冠
蓋は閉まらないのか? なぜあえて閉まらないような形をしているのか?
そして、この作品を「自画像」とする意味。

 

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↑ これは館内の撮影可能な作品の中でも、一番好きな作品だった。
こういうメモのような、ラフスケッチのようなアイデア出しのような、まさに落書きのような・・
そういう集まりがバスキアらしくて好きだ。 
湧いてくるイメージ、頭の中の混乱、思うことがとまらない・・頭の中にある物をすべて取り出す。
それが凝縮された画面。 そこここに飛び交う色。 手書き文字の羅列。 そういったものがとてもグラフィカルでオシャレに見えてしまうのはなぜ。

 

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撮影不可だったけど、 「中心人物の帰還」という 黒地に白で文字やドローイングを集めた大きな作品、それが今作品で一番心に引っかかった。 結構好き。 カッコイイ。

 

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残念ながら、英語力に長けていないので このメモ書きが何を意味するか・・そこがわからないんだよ。
バスキアが考えていたこと、気になっていたこと、それを表現し、何を伝えたかったのか。
やっぱり、色や絵の具の塗りたくりや、筆致の力強さなどから受ける、感性のやりとりで受け止めるしかないのか??

展覧会の最後に、ミュージアムショップにて 展覧会の図録やバスキアにまつわる書籍をたくさん売っていた。
普段なら、必ず図録を買うところだが・・・
図録については、先に書いたように 印刷物で見てもあまり価値がないような気がしたのと
すでに家に一冊バスキアの画集を持っていたので、購入せず。

代わりに買ったのがこれ ↓

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バスキア ザ・ノートブックス

バスキアが手がけた8冊のノートブックス それらをとりまとめて翻訳したもの。

ノートに綴られたメモ書き、アイデアやイメージこそ、バスキアの作品や人格を読み解くヒントになるだろう。

 

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装幀が、本物のノートの表紙をそのまま使ったデザイン。
デスクに置いてあると、そのまま放置してしまいそう。

作品の印象が薄れないうちに、早めに目を通そう。

 

 

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バスキア展で目を引いたのは、ファッショナブルなパパやママと一緒に、超 垢抜けたキッズが楽しそうに鑑賞していたこと!
それが、一組や二組ではなく、結構たくさん。そんな会場内の雰囲気も、バスキア展ならではなのかも。

森ビルからの眺望も美しい! 手前には、国立新美術館、遠くには新宿が見える。
六本木という土地柄、帰りにショップめぐり、ちょっと足を伸ばせばミッドタウン、青山界隈の散策も楽しい。


閉幕まであと少し! 
バスキアは、たぶん実物を観なくちゃダメ。 Tシャツのプリントやポストカードじゃダメ。 実物を観てほしい。

(m)


 

 

2019/09/13

虫展 六本木21_21 と ロイス・ワインバーガー展 ワタリウム美術館

9月に入っても、台風の影響からか 真夏のような猛暑が続く東京。
まだまだ夏気分です。

ついでといってはなんですが・・
2019夏休みの備忘録。



時は8月後半。
どこの展覧会を観ようか迷ったけれど、六本木21_21で開催中の 虫展へ!

酷暑の夏。 幸いなことに、8月後半のこの日は曇天。 湿度は高いものの、37℃越えなどと異常な気温ではなかった。

 

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正直言って、虫は・・・それほど興味も無く、大きな蛾や、ゴキブリ・・、幼虫状態なんてもってのほか、はっきり言って苦手〜。 予期せず突然 出くわした場合には、突拍子もない声を上げてしまう。そんな存在の「虫」なのだが。

なのに、この展示を観た後では
虫ってスゴイ 虫って美しい 虫ってキレイ 
キレイな虫を集めたくなる人の気持ちが多少なりとも、わかった・・ 

とまで変化した自分。(ただし幼虫の展示はありませんでしたが・・・唯一、レンズ越しにそれとなく見えた虫に人間はどんな反応をするか・・というものがあったのですが、それはやっぱり少し震えました)

何より、とてもわかりやすい。展示の意図が伝わりやすい。
昨年、デザインあ展を観た時と同様、佐藤卓氏によるディレクションはとても明快。

 

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入り口付近にずらっと展示されていた標本は、ため息が出るほど美しかった!
触角や足を、傷つけることなく美しくキレイに保存して・・・そしてまた新しい虫をここに並べたい・・というコレクターの気持ちが、少しわかった。 何種類もの昆虫が整然とレイアウトされているのは圧巻。
でっかい蛾や白いゴキブリ(言葉だけで聞くと、ひ〜〜〜っ!)を、じっくり眺めることができたのも、我ながらビックリ。


 

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↑ 虫の模様を発展させると・・
見せ方のデザインもシンプルでキレイ。

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↑ 同じ種類の葉っぱでも虫によって食べる痕跡がちがう。
痕跡から、どんな虫がいたのかを想像する。

・・考えてもみなかったことだが
こうしてレイアウトされていると美しさを感じる。


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↑ トビケラの巣

拡大してみることで、視点が変わることを改めて感じる。



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↑ 虫に名前をつけてみよう。
たくさんの言葉が並ぶ。



展示では、様々な方向から虫の美しさを「見せつけられて」 そこから気づくアイデアやヒントがたくさんあることを教えてくれる。

好き嫌いで排除してしまうのではなく、虫を多面的に観察し、そこから何を発見できるか。



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出口付近のホールでは、オトナからコドモまで 自分が考えた虫の名前について、その形状を考え楽しむことのできるスタンプコーナーが。

会期は11月4日までと、まだまだ時間があるので、ぜひ六本木へ足を運んでみてほしい。おすすめ!


その日は、六本木から外苑前の ワタリウム美術館まで歩いてみた。
そこで見つけた都会の中を切り取った風景。

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国立新美術館の横をすり抜けて青山墓地方面へ。
そのときに見つけた看板。

六本木でも、ヘビが出るのか!!


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虫展の後、虫を発見。 

どちらも、動かない。 暑さにやられちゃったのかな。
青山墓地下の壁にて。

 

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青山界隈にも、こんな風景が。
昭和の建物かな。

こういう出会いも、
裏道を歩いてみるからこそ!


蒸し暑い夏、外苑前までテクテク。

 

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そして、ワタリウム美術館に到着。 
そこで開催されていた ロイス・ワインバーガー展を観る。 ポップなポスターに興味を引かれて行ってみたのだが
自然をモチーフにして観る人の心をざわつかせる現代アートという やや難解な内容だったので、
比較することでもないのですが・・・コンセプトの明快だった虫展のほうに、軍配!

 

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そして、この後 原宿方面へ またしてもテクテク。

そろそろ、サンダル履きの足の裏が気になってきました。

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駅への近道 ということで、意を決して 竹下通りへ突入〜!
年齢層がやっぱり低い。 今や小学生〜中学生と外国の方がメインの通りです。

 

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竹下通りに来たら、やっぱり気になるクレープ。 全てがファンシーカラー。ピンク水色クリーム色!!
食べませんでしたが。

 

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原宿駅に到着して、山手線を待っているホームから見えた緑は、
動物に見えてきたから不思議。


展覧会と都会の裏道散歩。
近い美術館をハシゴするときにはおすすめ〜、ただしサンダルではなくスニーカーを履いていこう。


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2019/08/14

2019 夏休みにみにいきたい! 美術展 / 企画展

 

 

 

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お盆休みも終わりかけ、夏休みも終盤ですが!

それでも、やっぱり気になる!

現代アートやデザイン工芸に寄った展示をピックアップしていますが、この夏 観に行きたい展覧会(都内)をまとめてみました

 

品川

加藤泉  LIKE A ROLLING SNOWBALL
2019年8月10日(土)~2020年1月13日(月・祝)
原美術館
★原始美術を思わせるミステリアスで力強い人物表現

 

 

恵比寿

嶋田忠 野生の瞬間 華麗なる鳥の世界
2019年7月23日(火)~9月23日(月・祝)
東京都写真美術館
★ニューギニア島を舞台に、不思議な生態と華麗な姿で人々を魅了する貴重な野生動物を多数紹介

 

 

六本木

虫展
2019年7月19日(金) - 11月4日(月・祝)
21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2
★知れば知るほど不思議な虫たちを「デザインのお手本」にする試み

 

TUKU IHO  受け継がれるレガシー
2019年8月1日(木)- 2019年8月31日(土)
21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3
★ニュージーランド・マオリ芸術工芸学校の教員や学生が制作したマオリの伝統芸術・現代アート作品を展示

 

 


神宮前

ロイス・ワインバーガー展 見える自然 見えない自然
2019年7月13日[土]-10月20日[日]
ワタリウム美術館
★オーストリア出身のアーティスト、ロイス・ワインバーガーの作品を通して「見えない自然」を知り、考え、持ち帰る

 

 


竹橋

みた?―こどもからの挑戦状
2019年7月13日~2019年9月1日
東京国立近代美術館工芸館
★こどもの眼が切り取った工芸の根源的な姿をもとに、「色」や「もよう」、「質感」や「調度」など、これまでに取り組んだテーマを再構成。2020年の移転も目前。最後の東京の工芸館の夏

 


高畑勲展―日本のアニメーションに遺したもの
2019年7月2日(火)~10月6日(日)
東京国立近代美術館
★絵を描かない高畑の「演出」というポイントに注目し、多数の未公開資料も紹介しながら、その多面的な作品世界の秘密に迫る

 


日本橋

日本の素朴絵 —ゆるい、かわいい、たのしい美術—
2019年07月06日~2019年09月01日
三井記念美術館
★ゆるくとぼけた味わいのある表現で描かれた「素朴絵(そぼくえ)」

 

 

東京駅

マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展
2019年7月6日~2019年10月6日
三菱一号館美術館
★絹地のドレスやコートなどの服飾作品を軸に、絵画、版画、写真、舞台関連作品、彼が蒐集した日本の染め型紙を含むデザイン関連資料等

 

 

メスキータ展
2019年6月29日(土)~8月18日(日)
東京ステーションギャラリー
★メスキータの全貌を紹介する日本初の展覧会。版画・ドローイングなど見応えタップリ

 

 

清澄白河

あそびのじかん
2019年7月20日(土)~10月20日(日)
東京都現代美術館
★6組の作家による、こどももおとなも楽しめる作品

 

(m)


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2019/08/13

ショーン・タンの世界展 at ちひろ美術館 / メスキータ展 at ステーションギャラリー / 野蛮と洗練 at 菊池寛実記念 智美術館

表題に示したが、三つの展覧会の備忘録。

実際に足を運んだのは、7/13(土)に、ちひろ美術館。 足を運んだというか、自転車で行ける距離なのです。
そして、あとの二つの展覧会へは、 7/15(月)海の日! 通常ほとんどの美術館が月曜定休というところが 多いのだが、
この日は祝日と言うことで開館。混んでいるかと思いきや、二つともストレスのない空間でした。


すでに会期が終了している展覧会なので、備忘録としての記録となるが

ショーン・タンの世界展 どこでもないどこかへ 

ちひろ美術館へは、家から自転車で20分ほど。 梅雨まっただ中、わずかな晴れ間を見計らって出発。
美術館は土曜日の午後と言うこともあってか、また会場そのものがこじんまりしているせいか 大勢の人が集まっているように感じた。
なんの予備知識もなく、チケットをいただいたこともあって とにかく行ってみることにしたのだが、とても良い展覧会だった。

鉛筆だけで描くモノクロの世界、文章を使わずにコマ割りのみでストーリーが展開する『アライバル』の原画。
空想の世界は、言葉がないからこそ、イメージをかき立てる。色も音も言葉も無いのに、絵の隅々まで見渡したくなり、想像の世界に没入してしまうようだ。 鉛筆でここまでの緻密な濃淡と細かなディティールを表現できるとは!
ファンタジー映画を見ているような気持ちにさせる、不思議な絵。
登場する生き物たちは、ありそうでなさそうで、愉快でかわいらしくて怖くて気持ち悪くて? でも、なんだか憎めない・・そんな感じがした。

会場を巡るときに、少し順序を間違えて 最新作の大きな油絵を見るところから見始めたのだが、会場内の いわさきちひろの原画もじっくりみて、
その後、本来なら一番最初に見るべき 『ロストシング』の原画のコーナー
美術館の閉館間際に、ロストシングのアニメーション原画や絵本原画 アニメーション上映に見入ってしまい・・その魅力に引き込まれてしまって ついついDVDまで買ってしまったという!!


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なんだろう?この、ありそうで、なさそうで 言葉を越えた世界共通の不思議な感覚・・
人間界のちょっぴり切ない気持ちのやりとりと、あり得ない生き物たちの登場と。この独特な世界観こそ、ショーンタンの世界なのだろう!

帰り道、またパラパラと雨が降ってきてしまい、急いで自転車のペダルを踏みながら帰路へ。


メスキータ展

東京ステーションギャラリーで開催中のメスキータ展(会期:2019年6月29日(土)-8月18日(日))
これまた、頂き物のチケットを手に、東京駅へ。 丸の内北口を出てすぐに美術館の入り口はあった。 実は、初めての東京ステーションギャラリー、どんな空間なのかと期待感を持って入館!

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木版作品を多く制作していたメスキータ、ショーンタンが描いた濃淡満載の鉛筆画とは違った、ハイコントラストのモノトーンの世界観を堪能できる。
描こうとする人物や動物・植物などのモチーフと背景の模様等をシンプルに構成しなおし、版画を試し刷りする間に版に手を加えながら絵を変更していく。
200点を超えるたくさんの作品は、ほとんどが版画作品であったがグラフィックデザイン要素の強いものばかり。プリントを重ねて変更していったり、版に手を加えてプリント段階での変化を作品にしてみたり。印刷過程の試行錯誤が作品となっている。

ドローイング作品も多数展示されていたが、展覧会での解説によれば、シュルレアリスムにおけるオートマティスム(自動筆記)の先駆けとあった。オートマティスム?・・私には、無意識に描いたドローイングというよりも、心の中を具体的に描いたもののように感じたけれども。
良く見ると、物語の一場面のようでもあるし・・ユーモアのある表情に見える登場人物は、小説の挿絵のようにも見えた。
木版のシンプルで明快で構成的な作品に対して、繊細で不可思議でハッキリしない部分も持ち合わせた曖昧で幻想的な世界。
相反するような二つの画風で制作することで、バランスを保っていたのかな・・。


野蛮と洗練 加守田章二の陶芸

ホテルオークラの脇にひっそりと建つ美術館、菊池寛実記念 智美術館 ・・・長い名前・・!
こちらも初めて訪れる場所であったが、まず虎ノ門という場所にほとんど行ったことが無い。
周りには大使館も点在し、道には警察官の姿も見られて物々しい雰囲気。
ホテルオークラは工事中だし土地勘ないし・・で、到着には少し時間がかかってしまったが、訪れた時期が涼しい時期で良かった。これが酷暑日だったら、道に迷った時点で 行くのをあきらめたかもしれない。

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美術館の内も外も、都会のどまん中にして静寂・・おとなの落ち着いた空間。(外は、若干 工事中のところが多いのでそこら辺は残念ですが)
地下一階の展示室に 陶芸作品が並ぶ。
陶芸などの工芸品のために作られた空間、ライティングも暗さの中から作品が浮かび上がるように設計されているようだ。
立体作品はぐるりと回り込んで観たいものだが、それも可能になるように 中央になだらかな曲線を描きながら展示台が置かれている。

加守田章二の作品は、タイトル通り 野蛮というか・・ごつくて力強い素材を相手にしながら、等間隔の波模様、幾何学的なパターン、それでいながら優しさも感じるような曲線。 優しさと きわどさ 冷静と情熱と、華奢とモダンと・・ 
バランス感覚がとても素敵だった。

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この展示はすでに終了。



2019/06/10

クリムト展 東京都美術館

梅雨入り後、毎日どんよりとした空模様が続いている。
今日なんて、一日中 雨 雨 雨 おまけに寒い!!

梅雨入り直前の先週木曜日は日中30°越えだった。午後には帰宅しないといけない日だったので、朝一番に上野へと向かい東京都美術館で開催中のクリムト展を観てきた。

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あらかじめ混雑覚悟という意識で出かけたのだが
美術館入り口に到着したのは開館10分後くらい、その時点で会場入り口にはすでに20mほどの列ができていた。後もう少し早く到着できていたら良かったが・・。


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覚悟はしていたものの、混んでいる展覧会は苦手。

この絵の前でわざわざ そのおしゃべりする? っていう方が大勢いたりするから・・ 
会場出てお茶でもしながら友だち同士ゆっくりしゃべりなよ、って・・・・言えないよね〜・・だから、そんな人混みはパス!
まずはざっと全体を見通すようにスピード感を持って会場を巡り、その後もう一度気になった絵や説明書きをしっかりと観る。

地下一階から順に登っていくような形で会場を移動するのだが、一階にあがったぐらいから だいぶ空いてきて 絵に近づいて眺めることもできた。

いつものように、心に引っかかるものをメモ。

・ベートーヴェンフリーズ 複製とはいうが、このデザインと装飾と人体のライン・・ぐるりと囲まれたこの空間は圧巻。

・ウィーン分離派のポスター  空間、書体 

・赤いスケッチブックに描かれた クリムトのラフアイデアスケッチ・・! 

・アッター湖畔のカンマー城  風景画が装飾のモチーフとして捉えられている、木立の間から見える草むらや建造物がラインや面として浮き上がる。その他の風景画も、 遠景、近景、畑、木立、地面、影の形・・・どの形を選んでラインを捉えていくか・・かなりグラフィカルな構成を感じた。今で言うと、写真撮影してフィルターをかけて興味のあるフォルムをコントラストつけて抜き出す感じか?

・鬼火 のフレーム 正方形の絵画に対してフレーム面積の大きさ、金属の額。

・人体ドローイング 赤と緑のライン  補色使いの表現。 油彩画にもそれは使われていて、人体のラインは補色やコバルトブルー、赤等、鮮やかな色なのに遠目に見ると自然な陰影となっている。

・女ともだち のレイアウト、細長いフレームに左右にちりばめられた細かな装飾。 デザインと、具象画と、装飾と・・。

・目をつぶっている人物たち 生まれて9ヶ月でなくなった息子のスケッチや、眠っている家族、自殺した少女、死後の老人・・どれもまぶたを閉じているのだが、命のあるなしが的確に表現されているのが印象的。 

そして、何より今回のクリムト展で一番よかった と思えた作品は 女の三世代。
やはり、本物を観ることの意味を感じさせる、その大きさ、人物の表現力、流れるようなライン、装飾模様の輝き、細かさ、
朱、パープル、ダークグレイ、金、コバルトブルー、ピーコックグリーン、黄金色・・・絶妙な配色。

実は、美大時代に 成人式の晴れ着はいらないから海外旅行に行かせてください と親に頼みこんで 学生ツアー「ヨーロッパ美術の旅」に参加したことがある。美術の旅だから、有名美術館のあるヨーロッパの国々を巡り美術作品をみまくる、街を堪能するという(でも一各国一泊から二泊という弾丸ツアー)今にして思うと、親に感謝しかないが本当に貴重な一ヶ月だった。
そのときに、オーストリアのウィーンで 初めてクリムトの代表作「接吻」を観た。当時から、どちらかというと抽象画を好んでいた私は、クリムトのふわっとした油彩表現、官能的で甘ったるい(そうみえた)女性の表情は苦手・・と印刷物でしか彼の作品を見たことがなかったくせに勝手にそう思い込んでいた。

ところが、実物を目の当たりにしたときの感動と来たら!!
見た瞬間に作品からの風圧を感じるほどパワーを感じ、その場に立ちすくんで感動した・・という記憶。金箔を施した緻密な装飾と、その間から見えるリアルな計算され尽くしたフォルムで描写された男女の表情・・・・ため息しかでない。

今回は、その「接吻」を再び観ることはできなかったが、改めてクリムトの実物作品を観て なんというか・・ 
画家や芸術家というのは、やはり命をかけて描いているんだ、美しいと思うものを描き自分だけができる表現で伝えようとあらゆる手段を駆使しているんだと・・ いまさらこんなこと なにいってんだか・・でも、当たり前だけど、テキトーに生きてちゃダメだな・・と。 
表現したいと感じたら、これくらい突き詰めなくては、ということ。・・だけど、凡人には厳しいか〜。

およそ一時間半ほどで作品を見終わった。そして展覧会場を出たあと、ミュージアムグッズコーナーで売られているクリムトグッズの種類の多さにビックリ。
かつて雑貨の商品企画の仕事をしていたから、それなりに興味深く ぐるりと眺めてみたものの・・ 芸術作品をモチーフとしたグッズ作りって大変だよな、と 。 もし、自分に企画依頼されたら芸術と売れ筋グッズ、相対する根本的なこととか考えちゃったりしそうで精神的にきついだろうなと思ってみたり。

そう思いつつも、最後に ベートーヴェンフリーズ ピンバッジのガチャガチャを見つけて ついついガチャガチャしてしまったのであった。



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2019/06/07

印象派への旅 Bunkamura the museum 女・おんな・オンナ 松濤美術館

実際に観たのは、なんと 五月のゴールデンウィーク後半。
記録もせず放置していたのですが、やっぱり備忘録として書いておこうと思い、今更ながら記録します。

最初に Bunkamura での 「印象派への旅 海運王の夢」 をじっくり観てから
せっかく来たので、もう一つ。 と ハシゴする先にえらんだのが 
松濤美術館で当時開催していた 「女・おんな・オンナ 浮世絵にみる女のくらし」

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印象派への旅は、現在も開催中なので 興味のある人はぜひ。
これまで門外不出だった 海運王バレルのコレクションを観ることができるチャンス! 

展覧会のテーマとして大きく 印象派への旅 とかかげてあるが、実際に展示されている作品群を観ると 印象派だけにとどまらず 気に入った絵画作品をコレクションしていることがよくわかる。特に日常の風景や船などが心に残る。

館内を絵画のモチーフごとに分けて展示してある。

・室内の風景〜日常の風景
・静物
・戸外に目を向けて
・郊外へ
・川辺の風景
・外洋への旅


静物画や日常風景でも、暗い中にボワッと浮き上がるように描かれるモチーフに目がいった。
フランソワ・ボンヴァン スピネットを弾く女性
アンリ・ファンタン ラトゥール 桃

背景の濃色とほんのりと色づく淡い果物の色、その対比はインテリアの一部としても考えてコレクションしたのでは?と思えたのだがどうだろう?

ドガの リハーサル は この展覧会のメイン絵画とも言えると思うが、実物はパンフレットにあるような色ではない。印刷物ではどうしても再現できない色。 バレリーナが着る衣装のベビーピンクやコバルトブルー、イエロー等々 その鮮やかさにおどろいた。 これもやはり暗い中にその色が点在しているそのコントラストやバレエスタジオの光を感じさせる透明感が美しい。一見の価値あり。






松濤美術館へは、Bunkamuraから徒歩五分。
高級住宅街の中にある(とかいって、ほとんど松濤のことはわかりませんが)美術館。実は、数多く美術展は観ているつもりでもなんと初めての入館。

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女・おんな・オンナ 浮世絵にみる女のくらし

浮世絵中心の展示だったが、中には 江戸時代の化粧箱や 当時の女性がどんな髪型だったかを知ることができるカツラなども展示されていて興味深かった。この時代に生まれていたら・・どんな階級だったか、どんな地域に暮らしたか によってもだいぶ違ったのだろう と、思いを巡らすのも楽しい。この展示はすでに終了。


本当は、このあと松濤アタリを散歩したかったのですが
突然の夕立が・・! ぽつりぽつりと雨が落ちてきて、慌てて渋谷駅まで走って帰りました。


2019/06/06

ちいさなてんらんかい 2019 アプレットプラスのアトリエにて

今年も こどもデザイン造形教室 に通うこどもたちの作品を展示いたします。
どなたでもご覧いただけますので
どうぞお立ち寄りください。

こどもたちの作品は、おとなの方の心にも響くものがあると思います。
ご興味のある方は、ぜひお気軽に遊びにいらしてください!

ちいさなてんらんかい 2019
6/22sat〜24mon
10:00〜18:30(月曜日は16:30まで)


アプレットプラスのアトリエはこちら

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2019/05/20

空帖と布  目黒 maruse B1 Gallery

 

 

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空帖と布
ただ今開催中!

5/18sat 〜 5/26sun 水曜日・木曜日は休廊

目黒 maruse B1 Gallery にて 

1階では、布作家の展示 

1階奥の階段をおりて地下へ・・ そこには、手製本の数々が!

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空帖
手縢り本 折り本 御朱印帳 豆本 豆本ネックレス 豆本ピアス ミニコプト製本 等々の手製本がたくさん!

全て一点ものですが
訪れた人が気に入ってくださると、その人の手元へ旅立っていきます
お気に入りを探しに、ぜひお立ち寄りください

目黒インテリアストリート や 寄生虫館👀
のすぐ近くなので、お散歩がてら・・

製本倶楽部と称して活動する二人 KUMA HOUSEの 熊谷哲也 と Applet Design の 鶴岡秀樹
このような場で展示することは、なかなかないので、この機会に直接手にとってご覧いただけたら と思います。

 

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こちらもぜひご覧ください 👉製本ブログキルオルトジル

2019/04/15

トルコ至宝展 ユーモア展 at 六本木

東京の美術館や博物館の多くは
月曜休館のことが多い。

どうしても月曜日に展覧会を観たい!
という人はどうするのか?

そんなときは、六本木界隈の美術館に行けばいい。
六本木の美術館はだいたい、火曜日が休館日。

以前、美術館は月曜休館が当たり前 と信じ込んで なんの疑いもなく
火曜日に六本木の美術館を訪れたときに、ことごとくどの美術館も休館でショックを受けた経験あり。
それ以降、火曜日に六本木には行かない と決めている。

今回は、国立新美術館で開催中の
トルコ至宝展 を観る。

 

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展示場内 撮影禁止。

記憶に残ったことのメモ。

まず、数々のお宝を目の当たりにしながら、スルタンの権力を想像し その壮大なスケールに・・クラクラ。
城壁に取り囲まれた宮殿に住む人の数!
宮殿そのものが、一大都市だったというわけですね。
ハーレムに住む女性たちだけを見ても、なんと2000人だったとか。
世継ぎを産むために世界各地から集められたって・・・そして、スルタンに振り向いてもらうために女性たちは身体を磨き、踊りを舞い、だなんて・・・なんという時代!!

さて、展示物。
スルタンの座る椅子 玉座。
その上につり下がる巨大(と言っていいと思う)なエメラルド、ダイヤ、真珠、黄金。
たとえ宝石が小さくても、もっと磨いて精緻な工芸品とすることも可能なのでは と考えるのは野暮かしら。
この巨大さが 権力の証!どうだ〜!とでもいうような・・そんな至宝の数々。

織物については、宝石の巨大さとは裏腹に
実に細かく丹念に織られていて、一枚の布を作る時間を想像するに・・
その手間暇をかけた品を得ることがまた権力のなせる技なのだろうと思わせる。

スルタンの着物カフタンは、ずいぶんとおおきく、とても袖が長い。実際に着たらどんな形に変化するのだろう?
平坦に展示されたシルエットはシンプルな曲線と直線でできていて、ユーモラスでかわいらしい印象。
くるみボタンも、織られた模様も 生地の色も 実にオシャレ。

そして、アラビア文字の花押が展示されていたが、
まず まったく見事に読めないから・・ きっと日本語が読めない外国人が 草書だの行書だの・・で描かれた文字を鑑賞するときに
こんな気持ちになるのかしら? と感じつつ。 ほぼ、図形や絵の一部 と思って観てしまう。

書道の手習い本なども、全く読めないのだが その横に描かれた花の絵の細かさ鮮やかさ が印象に残った。

その他にも心に残ったもの箇条書き。
・東洋と西洋の様式がまさに融合されたトルコの工芸品。中国っぽいところあり、ヨーロッパっぽいところあり。
・長靴の細かい縫いもよう。形もオシャレ 
・礼拝用敷物の刺繍の細かさ!この大きさを完成させるにはどれだけの時間がかかるの?
・スルス書体 ナスフ書体 タアリーク書体・・あとで調べよう。
・トルコではチューリップを一輪ずつ飾る そのためのチューリップ用花瓶の形
・明治天皇がスルタンに贈ったという 指物道具一式
 そもそもスルタンが、プロ並みの腕前(?)の大工だったということ!
・ミュージアムショップでは、トルコ刺繍オヤのアクセサリーが販売されていて・・興味深い。欲しい!(迷ったが結局買わなかった。作ってみたい。)


帰りに美術館の三階まで上がって アートライブラリーに立ち寄ってみた。
現在開催中の展覧会関連の本を見ることもできるし、閲覧可能な美術書がたくさん。
この静けさも、吹き抜けのこの空間も 自分を見つめる場所 興味を掘り下げる場所としては贅沢すぎるほど。

家から近ければいいのに。

 

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せっかく六本木まで来たので
もう一つ美術展をハシゴ。

新美術館から歩いてほど近い ミッドタウン横にある 21_21design sight で開催中の
ユーモアてん へ。

 

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浅葉克己ディレクションの展覧会である。

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館内の展示物は、ほぼ撮影可能。
気になった作品をいくつか撮影してみたが(結局カラフルでグラフィカルでかわいらしい作品を見つめてしまう私だった)、
その他は 久里洋二のシニカルなアニメーションや 福田茂雄のおなじみのトリックアート、中村至男のアニメーション、日比野克彦の船、三宅一生の服、浅葉克己の個人所蔵の諸々、果ては浅葉克己が大好きという卓球関連・・・とにかく会場内所狭しと そして浅葉克己の言葉にもあるとおり時間軸も空間軸もごちゃごちゃに展示してある。

 

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それなりに著名なクリエイターやアーティストのものが点在しているので
なるほど・・と思って見てみるわけだが
統一感があるわけでも無いから、 人によっては このカオスが ??? 何を言いたいの? と思ってしまうかもしれない。
いっしょに観ていた高校を卒業したばかりの次女は、帰宅後 頭が痛いと言った。
なんだか訳がわからない展示だった、もしかすると、この展覧会がとても疲れさせたのかも とも言った。
だとすると、それは展示の企みにまんまと引っかかったのか? 

浅葉克己の最初の言葉にあるとおり、このごちゃごちゃした展示により 
ものとものとが共鳴し合い(あるいは不協和音を奏で)時間も場所も言葉も越えた不可解だが愉快な、訳のわからぬ「何か」を発し始めた・・・
そのエネルギーをダイレクトに受け止めてしまったのかもしれない。

だが
ユーモアは心を和ませる
ユーモアは暗い気持ちを引き立てる
ということだとすると、
頭は痛くならないんじゃないかとは思うけれど。

私自身も、この展覧会を観て 結局ユーモアについて、なるほどこういうものか と感じるより先に
浅葉克己の仕事とコレクションとその友だち展 ということだったような気がしないでもない。
それくらい、ユーモアってわかりにくいものなのか?


(m)

 

 

2018/11/27

マルセルデュシャン展 ブルーノムナーリ展

一つ前の記事に、今年の秋に観たい展覧会 として情報をアップしていましたが
そのうちの絶対に観よう と思っていた二つ。

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デュシャン展は、11/1に 
ムナーリ展は 11/23に観てきたので
それについてすこしばかり・・・・

つたない文章だけれど
でも、そのとき素直に感じたことの備忘録として。


展覧会をなぜ観るのか?

そこに足を運び、本物を観て、空間ごと体感し、そして作品と自分との対話・・ そんな風に考える私だが
デュシャンも ムナーリも いわゆる風景や人物を描く作家ではないので
彼らの発信していることをどう受け止めるのか?
そこが今回は一番のネック。


デュシャンとムナーリを同じテーブルにのせて比較するつもりは全く無いのだが
二つの展覧会に共通して感じたのは
どちらも、言葉抜きで 作品からのメッセージを読み解く・・
そして 日々目にするものから 発見せよ と。
芸術は、決して 選ばれた一握りの人たちのものではない とした二人。


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デュシャンの知性の高さに 到底太刀打ちできない私だが
彼はきっと 観る人が彼の作品を前に どう感じようと それについては興味が無かったのではないかと思う。 
何を表現していくのかと考えた末に彼自身の答えとして、これまでの美術史(?)に無いものを、言葉で無く 形で示そうとした・・ただひたすら自問自答して形にした。自分の中での昇華であればそれで良いと思った・・。のではないか?

作品を読み解くときに、予備知識がなければ難解な点も多いからか、
会場の後半 デュシャン初心者にもわかりやすく日本美術とデュシャン作品との共通点を示してくれている。


一方のムナーリ。

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特別でない日常の中の一コマからも、美しさ・オドロキ・発見があるとして、
それを小さなこどもの頃から育てていくことが大切であると伝えようとしたムナーリ。 だれもが作品を作ることができる。 遊びの中から発明は生まれる!
創り出すことは 難しくない ほらそこにあるよ と、どうしたらそのことを人々に伝えられるかを模索し続ける。
そして思いつくアイデアを次々と 楽しんでおもしろがって 形にして。

これまでも、過去に数回(板橋区立美術館・shiodomeitaliaクリエイティブセンター等々)ムナーリの展覧会を観てきたが
今回の展覧会では、これまで目にすることの無かった平面作品も多数あり、また『役に立たない機械』と展覧会のサブタイトルにもなっているモビール作品も、初めて観た。
役に立たないことに時間をかけることの意味。

だから・・?
これが何の意味があるの?
役に立つの?

いやいや
そういうことじゃなくて・・・

役に立たないことに全力を尽くしている面白さ。
それを公にして、観る人の感性を刺激することの大切さ。
役に立たないことに時間を割く。なんだか、日本人の苦手とする所なんじゃないのかな?

キッチリ働いて・・
役に立たないことなんて、もってのほか〜 ・・・・・なんてね。
かくいう私も、「役に立たない」時間を使っていることに ソワソワしてしまうんだから! そりゃ、おもしろくないよね・・



ムナーリの作品は、どれもとても軽やかでクリアで、そして時にユーモアのある表現、絵本の挿絵などは素直にかわいらしく・・ムナーリの卓越した表現が、多くの人の心を虜にする所以であろう。
これがいわゆるセンス というものか・・!




さて、日常に戻ったとき
自分なら 何を発見するだろう。
朝起きて
タイムスケジュールに合わせて行動し
学校に行ったり
仕事をしたり
食事をつくり
食べ
昼になり夜になり
忙しかった・・疲れた・・
そして
寝る。

そんな ごく当たり前の日常から
これまでにない
新しい何かを生み出すためには
さあどうする?

いつ見つける?
どう見つける?
そして、何をする?

そう問いかけてくれる展覧会。


★ムナーリ展は、こどもたちにもぜひ観てもらいたい展覧会です!
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