ピーター・ドイグ展 国立近代美術館
8月に入ってからと言うもの、東京は毎日35℃を越える猛暑日が続いています。
コロナ禍で、東京に住む人は、夏休みでも他県への移動は自粛。
イベント関係も中止のものが多く、例年のような夏休みとはいきません。
どこへ行くにも、マスクをしながら感染対策に気を付け、外出先で食事をするのもどうしようか迷うことも・・
こうなったら、今年は遠出ができない分、美術館にたくさん足を運ぶことにしよう。
館内は作品保護のこともあり、どこもヒエヒエなので、暑さ対策としてもおすすめです。
8月13日に、国立近代美術館で開催中の ピーター・ドイグ展へ出かけました。
久しぶりの近代美術館。予約不要で入館。
ひとりで訪れている若い女性が多かったように思う。
外は酷暑だったが、館内はここまで冷やすか? という・・寒さ。一枚羽織るモノを持参するといい。
予備知識もなく訪れた展覧会。
横に長い風景、水場に映り込んだ鏡面の構図作品が何点も。
時間や季節が、不思議に入り交じる。
白や蛍光色、厚く塗り重ねた油絵の具の奥から見え隠れする色。
彩度や明度のコントラストにより、観る人の焦点を合わさせる技。
時間は夜、でもカラフルなモザイク柄の塀には昼間の光が当たっているかのような鮮やかさ。
エメラルドグリーンの空と前景は、劇場のようでもあり幻想的なもやがかかっているようにも見える。
遠景は遠くに行けば淡くぼやけていくのかと思いきや、右に鋭くカーブする塀の上端は鋭くシャープな曲線を描いている・・
入口に立つ時間と場所に似合わぬ二人の人間・・いったいここはどこなのか?
知らず知らずのうちに、絵の中に入り込み、場面を想像し、ピーター・ドイグの世界に引き込まれていた不思議。
とにかく大きな絵。 長辺3メートル近くある画面は、写真では伝わらない。
蛍光色に近い鮮やかな色も実際にみないとわからない。
やはり、美術館に行って 実物を見ることでしか わからない。
左右に立つ木、その間に見える影。
その影を次の作品では人物に見立てたそう。
確かに、影が別の何かに見えるときがある。
描く風景の中に、別のカタチが見えて来ないか?
風景の中にまた風景がひそんでいないか・・と、何重にも重なるストーリーを探すことって・・・確かに時々自分も考えることがある。
展覧会場の最後に、トリニダード・トバゴでドイグ自身が立ち上げたという「スタジオフィルムクラブ」
その手描きポスターが何点も展示されていた。
鮮やかな色が、ポップなヘタウマイラスト的ポスターの魅力を引き立てているよう。
何点も展示されている中から、特に色鮮やかなモノに惹かれた。
何の予備知識もなく訪れた展覧会だったが、見応えのある作品ばかりだった。
好き嫌いせず、とにかく足を運んで空間ごと実物を観てみることで、また新しい作家を知り新しい発見をする楽しさ。
ドイグ展のあと、常設展示もざっと見て、寒さに震えながら美術館を出ると
外はやっぱり猛暑だった。
こんなに気温差があるって・・・ ほんとに地球に優しいことなんだろうか?
美術作品を守るには必要なことなのか?
ドイグ的構図・・・遠くに白鷺が。 水面に映るビル、よどんだ熱気と水面を覆い尽くす水草。
酷暑に時が止まったように、むせかえる空気。
そうか、ここは皇居の近くだった・・・
ここにも、ドイグ風構図を見た。
東京に生まれ育ったけれど、皇居の門をくぐったことがなかった。
せっかくなので、暑さに負けそうだったけれど 平川門から大手門ルートに初潜入。
この季節、花も咲かなければ 葉も色づかない。
ただ、暑いだけ・・・
ということで、通る人はほとんどいない。
石垣が気になる。
その形、区切り。 植物とのコントラスト。
大手町に抜けると、無機質なオフィスビルが建ち並び、そのコントラストがまた気になった・・・
夏休みに、遠出は出来なくても
東京散歩は どこへ行っても新しい発見があって充分に楽しい!
暑ささえ克服できれば。
(m)
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